日本女子ゴルファーの海外進出の勢いが止まりません。2024年シーズンはアメリカLPGAツアーに9名が参戦、下部のEPSONツアーでも3名が来季のLPGAツアーカード目指して頑張っています。そこで気になるのが彼女たちの成績。
各試合の順位はニュースでわかるのですが、年間を通じての出場優先順位やシード権はポイントで管理されているため分かりにくい面もあります。また、日本ツアーでも賞金ランキングからメルセデス・ランキングに移行、世界ランキングもポイント制です。ここでは、世界ランキングのロレックス・ランキング、日本ツアーのメルセデス・ランキング、LPGAツアーのCMEグローブ・ランキングを説明します。
ロレックスランキング
ロレックスランキングは、女子ゴルファーの世界総合ランキングです。2006年に制定され、プロ・アマ問わず、対象となる大会に参加した女性ゴルファーにランキングが与えられます。
ランキングの決定方法
ランキングは獲得した総合ポイントではなく(獲得総合ポイント÷試合数)で計算した平均ポイントで決まります。試合数による不公平感をなくすため、最低試合数は35に設定されていて、満たさない選手は35で割って平均ポイントとします。
また、直近の成績をより反映できるように、ポイントの反映期間は2年間104週。13週間を経過したポイントは14週目からは一定の割合で減少します。
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対象となる大会とは
以下12のツアーの公式大会です。日本、韓国、ヨーロッパ、アメリカは下部ツアーも対象となっています。
CLPGA(中国ツアー)、JLPGA(日本ツアー)、JSU(日本ステップ・アップ・ツアー)、KLPGA(韓国ツアー)、KDT(韓国ドリームツアー)、LET(ヨーロッパツアー)、LETAS(ヨーロッパアクセスシリーズ)、LPGA(アメリカツアー)、EPSON(アメリカエプソンツアー)、TLPGA(台湾ツアー)、THAILPGA (タイツアー)、WPGAA(オーストララシアツアー)
ポイント配分方法
各大会のレベルにより割り当てられたポイントが参加選手の順位によって割り振られます。
各大会に割り当てられるポイント
USメジャーの5大会に対しては固定ポイント。優勝者に100ポイントが与えられ、2位60ポイント、3位40ポイントとなり予選通過者全員に順位によるポイントが与えられます。
その他の大会(各ツアーのメジャー含む)では、開催ツアーや出場選手によってポイントが変動します。つまり、どのツアーの大会なのか、世界ランキング上位者がどの程度出場しているのかによって大会に与えられるポイントが違ってくるのです。
大会別上位ポイント
大会別上位ポイント | |||
大会名(ツアー) | 優勝 | 2位 | 3位 |
USメジャー | 100 | 60 | 40 |
日本女子オープン 2023(JLPGA) | 26 | 15.6 | 10.4 |
ワールドレディス サロンパスカップ 2024(JLPGA) | 19.5 | 11.7 | 7.8 |
パリオリンピック 2024 | 37 | 22.2 | 14.8 |
Mizuho Americas Open2024 (LPGA) | 62 | 37.2 | 24.8 |
TOTO Japan Classic2023 (LPGA) | 26 | 15.6 | 10.4 |
Suntory Ladies Open 2024 (JLPGA) | 19 | 11.4 | 7.6 |
AOMORI LADIES OPEN2024(JSU) | 3 | 1.8 | 1.2 |
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ロレックスランキングの活用
ロレックスランキングはメジャー大会やオリンピックの出場資格を決めるために使われています。
今後変更の可能性もありますが、2024年は次のとおりでした。
USメジャー
・シェブロン選手権 40位
・全米女子オープン 75位
・全米女子プロ 60位
・エビアン選手権 50位
・全英女子オープン 50位
日本メジャー
・ワールドレディスチャンピオンシップ
50位
・日本女子プロゴルフ選手権
無し
・日本女子オープン
20位
・ツアーチャンピオンシップ
50位までのJLPGA会員
QT、プロテスト
・USLPGA Qualifying 400位
・Final Qualifying 75位
・日本プロテスト2次 400位
・最終プロテスト 50位
オリンピック
オリンピックも開催直前のロレックスランキングによって選ばれますが、国や地域の人数制限があるためかなり複雑です。2024年パリオリンピックは以下でした。
・定員は60名。
・ランキング順に各国2名まで選出、ただし15位以内なら各国4名まで。
・開催国、各地域からは最低1名が選ばれる。
詳しくはこちらで説明しています。
JLPGA(日本)ツアー メルセデス・ランキング
JLPGAツアー(レギュラーツアー)における試合毎の順位をポイントに換算。年間を通じた活躍を評価するランキングです。2012年より年間最優秀選手を決める指標として運用されていましたが、2020-21年シーズンより賞金ランキングと共に来季シード権を決める指標として採用。2022年よりメルセデス・ランキングに一本化されました。
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ポイント配分方法
試合毎のポイントは、競技形態によって違います。3日間競技の優勝者には200pt、2位には120pt、3位90pt・・・と決勝進出者に与えられますが、4日間大会は1.5倍、国内メジャーは2倍、USメジャーは4倍のポイントが順位によって与えられます。競技形態の違いによるポイント配分をまとめると以下のようになっています。
競技形態別ポイント配分 | ||||
3日 | 4日 | 国内メ ジャー | USメ ジャー | |
優勝 | 200 | 300 | 400 | 800 |
2 | 120 | 180 | 240 | 480 |
3 | 90 | 135 | 180 | 360 |
4 | 70 | 105 | 140 | 280 |
5 | 60 | 90 | 120 | 240 |
6 | 55 | 82.5 | 110 | 220 |
7 | 50 | 75 | 100 | 200 |
8 | 47 | 70.5 | 94 | 188 |
9 | 44 | 66 | 88 | 176 |
10 | 41 | 61.5 | 82 | 164 |
11 | 38 | 57 | 76 | 152 |
12 | 36 | 54 | 72 | 144 |
13 | 34 | 51 | 68 | 136 |
14 | 32 | 48 | 64 | 128 |
15 | 30 | 45 | 60 | 120 |
16 | 28 | 42 | 56 | 112 |
17 | 26 | 39 | 52 | 104 |
18 | 24 | 36 | 48 | 96 |
19 | 22 | 33 | 44 | 88 |
20 | 20 | 30 | 40 | 80 |
ただし、USメジャーのポイントが加算されるためには当該年度JLPGAツアーへの出場資格と出場実績が必要です。
メルセデス・ランキング運用
年間最優秀選手
メルセデスランキング1位選手には年間最優秀選手賞と4年間のシード権が与えられます。
2020-21年古江彩佳(3年シード)
2022年 山下美夢有
2023年山下美夢有
シード権
シード権やリランキングは2019年までは賞金ランキングにより決まっていましたが、2020-21年シーズンからはメルセデスランキングを採用して賞金ランキングとの併用となり、2022年シーズンよりメルセデスランキングに一本化されました。
例年「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」終了時点および前週の「大王製紙エリエールレディスオープン」終了時点のメルセデスランキング50位までにシード選手として翌年の出場権が与えられ、51~55位までには翌年の前半戦出場権が与えられます。
リランキング
シーズン途中にシード選手以外の出場優先順位を、メルセデスランキング順に並び替える作業がリランキングです。前半戦出場権保持者も対象となるため、その時点で勢いのある選手が上位に来てツアーの活性化につながります。詳しくはこちらをご覧ください。
CMEグローブ・ランキング
CMEグローブランキングはLPGA(アメリカツアー)のポイント制ランキングです。運用は日本のメルセデスランキングとほぼ同じ。優勝者に通常大会は500ポイント、メジャーは650ポイントが与えられます。
ポイント配分方法
ポイントは通常大会、メジャー、1試合だけ開催される2人1組のチーム戦によって違います。
CMEグローブポイント配分 | |||
レギュラー | メジャー | チーム戦 | |
優勝 | 500 | 650 | 410 |
2 | 320 | 416 | 205 |
3 | 230 | 299 | 132.5 |
4 | 180 | 234 | 95 |
5 | 145 | 188.5 | 77.5 |
6 | 120 | 156 | 67.5 |
7 | 100 | 130 | 58.5 |
8 | 90 | 117 | 54 |
9 | 80 | 104 | 50 |
10 | 75 | 97.5 | 46 |
20 | 45 | 58.5 | 15.5 |
30 | 25 | 32.5 | 4.1 |
40 | 15 | 19.5 | 1.05 |
50 | 7.5 | 9.75 | – |
60 | 4 | 5.2 | – |
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CMEグローブランキング運用
Race to the CME Globe Champion
CMEグローブの年間チャンピオンは、最終戦「CME グループ ツアー チャンピオンシップ」で決まります。最終戦には前週でのCMEグローブランキング60位までに出場権が与えられ、そこで優勝すれば年間チャンピオンです。
シード権
翌年のシード権はCMEグローブランキングにより決まります。
80位までの選手が出場優先順位カテゴリー1にランクされいわゆるシード選手。
81~100位までが出場優先順位カテゴリー11にランクされる準シード選手。
101~125位が出場優先順位カテゴリー16にランキングされ、実際の優先順位は191位以下でした。
*2025年シーズンからは変更予定
リシャッフル
シーズン途中に出場優先順位を入れ替えるシステムがリシャッフルです。日本ツアーのリランキングに当たりますが、運用方法は少し違います。
日本ツアーではリランキング対象者内でのランクによって優先順位が上下しますが、リシャッフルでは、シード選手も含めたCMEポイントランキングで80位以内に入れるかどうかが重要です。
年2回行われるリシャッフルではリシャッフル対象選手がCMEポイントランキングで80位以内に入っていると、シード選手の次のカテゴリーにランクされ出場機会が大幅に上昇します。
アジアシリーズ
2回のリシャッフル以外でも出場人数が限られるアジアシリーズの前に優先順位が見直されます。こちらはシード選手も含めた全選手が対象。2024年は9月1日に最終日を終えた「FM選手権」後のCMEポイントランキングで決まりました。
リシャッフルに関してはこちらで詳しく説明しています。
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