パリオリンピック女子ゴルフ競技は、2024年8月7日~10日の4日間が予定されています。それに先駆け2024年6月24日発表のオリンピックランキングによって日本代表の2名が決まりました。
混戦を制して代表の座を射止めたのは、笹生優花と山下美夢有。逆転に次ぐ逆転の代表決定でした。大混戦の2024年パリオリンピック代表選考の様子を振り返ります。
前2回、2016年リオと2021年東京オリンピック代表選考の経緯や結果も合わせて紹介しています。
2024年パリオリンピック
パリオリンピック女子ゴルフの会場はヨーロッパでもトップクラスのル ゴルフ ナショナル。出場者を決めるオリンピックランキングは過去2年間の成績を反映した世界ランキングを基に作成されます。
2023年初頭は世界ランキング30位以内に4名
2023年初めの日本選手世界ランキングは、10位にエース格の畑岡奈紗、22位に2022年JLPGA年間最優秀選手の山下美夢有、23位にアメリカツアーで1勝を挙げた古江彩佳、29位に年間5勝の西郷真央とトップ30に4名が入っていました。
それ以外にも「全米女子オープン」覇者の笹生優花が33位、東京オリンピック代表の稲見萌寧は34位、ルーキーシーズン2勝の川﨑春花が39位で上位をうかがい、100位以内には16名が入る混戦模様になっていました。
2024年初頭ロレックスランキングトップ100は21名
2024年初頭、ロレックスランキングには畑岡奈紗の17位を筆頭に、ベテランから若手まで21名がトップ100に入る大混戦。誰が代表になってもおかしくない状況でした。
この時点では17位の畑岡奈紗と2023年シーズンもJLPGA年間最優秀選手に輝いて世界ランキングを19位まで上げてきた山下美夢有が一歩リード。24位に古江彩佳が続き笹生優花が27位で岩井明愛が36位に浮上します。
2024年シーズンも開幕しますが特に大きな動きもなくいよいよ勝負の6月へ。
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6月3日「全米女子オープン」優勝の笹生優花がまず確定
5月30日~6月2日に開催された「全米女子オープン」で笹生優花が優勝。ロレックスランキング6位に浮上して日本選手1番手に躍進。実質代表を確定させました。
代表争いは最終戦「全米女子プロ」へ
残り1試合となった6月17日付ロレックスランキングは6位笹生優花の次に20位古江彩佳、21位畑岡奈紗、22位山下美夢有と2番手争いは大接戦。その後にも少し空いて36位岩井明愛、42位竹田麗央、45位小祝さくら、47位岩井千怜、57位鈴木愛、61位西郷真央、62位渋野日向子、72位西村優菜と続いて、一発逆転を狙っていました。
6月17日時点で代表候補はだいぶ絞られてきましたが、上位のうち小祝さくらと鈴木愛以外は「全米女子プロ」へ出場。メジャーのポイント配分は
1位100pt 2位60pt 3位40pt 4位30pt 5位24pt 6位20pt 7位18pt 8位16pt 9位15pt 10位14pt・・・と高く一発逆転が可能でした。
畑岡奈紗はまさかの予選落ち
2日目を終わって日本勢最上位は4アンダーで3位タイの渋野日向子。3アンダー6位タイで山下美夢有が続き古江彩佳は1オーバー23位タイで決勝に進みましたが、畑岡奈紗は7オーバーで予選落ち。オリンピック出場の可能性は無くなりました。
「全米女子プロ」で山下美夢有が2位タイで2番手に浮上
結局3日目に2位タイまで順位を上げた山下美夢有が最終日も堅実なゴルフで2位タイと大健闘。予選落ちの畑岡奈紗、19位タイだった古江彩佳をかわして日本選手2番手に。見事オリンピック代表の座をつかみました。
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2024年6月24日発表最終のロレックスランキング
パリオリンピック日本代表ロレックスランキング推移 | ||||||||
選手名 | 6月 24日 | 6月 17日 | 6月 10日 | 6月 3日 | 5月 13日 | 24年 初 | 23年 初 | |
笹生優花 | 10 | 6 | 8 | 6 | 28 | 27 | 33 | |
山下美夢有 | 19 | 22 | 21 | 25 | 25 | 19 | 22 | |
古江彩佳 | 20 | 20 | 19 | 22 | 27 | 24 | 23 | |
畑岡奈紗 | 24 | 21 | 20 | 19 | 16 | 17 | 10 | |
岩井明愛 | 37 | 36 | 43 | 41 | 46 | 36 | 125 | |
小祝さくら | 40 | 45 | 47 | 47 | 50 | 65 | 70 | |
竹田 麗央 | 44 | 42 | 42 | 40 | 64 | 116 | 155 | |
渋野日向子 | 49 | 62 | 61 | 61 | 167 | 98 | 40 | |
西郷真央 | 51 | 61 | 57 | 54 | 47 | 44 | 29 | |
岩井千怜 | 52 | 47 | 45 | 45 | 42 | 62 | 86 | |
鈴木愛 | 58 | 57 | 54 | 53 | 48 | 79 | 114 | |
西村優菜 | 73 | 72 | 70 | 70 | 79 | 69 | 43 | |
櫻井心那 | 81 | 78 | 74 | 72 | 69 | 49 | 133 | |
勝みなみ | 82 | 84 | 80 | 79 | 77 | 81 | 54 | |
神谷そら | 94 | 88 | 87 | 89 | 83 | 68 | 754 | |
稲見萌寧 | 110 | 108 | 103 | 99 | 93 | 73 | 34 | |
吉田優利 | 111 | 110 | 104 | 98 | 96 | 70 | 65 | |
青木瀬令奈 | 115 | 114 | 111 | 110 | 111 | 95 | 121 | |
原英莉花 | 122 | 119 | 114 | 114 | 107 | 96 | 138 | |
菊地絵理香 | 126 | 123 | 119 | 107 | 99 | 93 | 97 | |
菅沼菜々 | 128 | 124 | 116 | 113 | 100 | 74 | 87 | |
上田桃子 | 143 | 138 | 137 | 130 | 122 | 87 | 71 | |
川﨑春花 | 149 | 146 | 152 | 146 | 129 | 121 | 39 |
6月24日ランキング上位のポイント数
全米女子プロ2位タイ(3名)の山下美夢有は43.33ptを獲得、先週の3.31→3.87に増加。19位タイ(3名)の古江彩佳は7pt獲得で3.44→3.49に増加。予選落ちの畑岡奈紗は0ptで3.38→3.31に減少。結果逆転で山下美夢有が2位に入りました。
6月24日時点トップ10ポイント詳細 | ||||
選手名 | 順位 | ポイント | 総ポイント | 試合数 |
笹生優花 | 10 | 4.67 | 233.6 | 50 |
山下美夢有 | 19 | 3.87 | 270.8 | 70 |
古江彩佳 | 20 | 3.49 | 220 | 63 |
畑岡奈紗 | 24 | 3.31 | 169.1 | 51 |
岩井明愛 | 37 | 2.39 | 176.8 | 74 |
小祝さくら | 40 | 2.35 | 178.4 | 76 |
竹田 麗央 | 44 | 2.26 | 158.1 | 70 |
渋野日向子 | 49 | 2.09 | 108.8 | 52 |
西郷真央 | 51 | 2.06 | 123.6 | 60 |
岩井千怜 | 52 | 2.05 | 156.1 | 76 |
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過去のオリンピック代表選考レースはどうだった?
ゴルフ競技がオリンピックに復帰したのが2016年のリオデジャネイロオリンピックからでした。2016年リオ、2020年東京オリンピックでも代表選考レースは熾烈を極めました。
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代表選手を決めるオリンピックランキングとは?
オリンピックゴルフ競技の出場資格は、オリンピックランキングの上位60名に与えられます。そのオリンピックランキングはロレックスランキング順に割り振られるのですが、原則は各国2名まで。但し、ロレックスランキング15位以内だと4名までが出場できます。
詳しくはこちらをご覧ください。
2021年2020東京オリンピック
まだ記憶に新しい東京オリンピック。2020年の開催予定から2021年に変更されて、代表選考レースの結果も大きく変わりました。
ロレックスランキングが一時休止
2020年に入るとコロナ禍により予定されていたトーナメントが軒並み中止になりました。それに伴いロレックスランキングの運用も意味がなくなり、2020年3月より休止します。2020年7月には暫定的に運用が開始されましたが、通常運用になったのが2021年3月よりと1年間の休止でした。
予定どおりオリンピックが行われていたら
2019年末のロレックスランキングでは畑岡奈紗6位、渋野日向子11位、鈴木愛22位が上位3名。1年後に代表選考レースを争う稲見萌寧と古江彩佳はそれぞれ63位と78位で、かなりの差がありました。予定どおり2020年夏に東京オリンピックが行われていたら、畑岡奈紗と渋野日向子が一番近い位置に居たことは間違いありません。
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2020年は古江彩佳が急上昇
それが2020年末には畑岡奈紗7位、渋野日向子13位、鈴木愛14位と上位3名には変更はないものの、2020年にJLPGAツアーで3勝を挙げた古江彩佳は16位までランキングを上げて、上位3名に急接近しました。なお、稲見萌寧は順位は上げましたが、53位と10ポイントのアップにとどまっています。
2021年は稲見萌寧が快進撃
2021年に入ると、稲見萌寧が5月までに5勝を挙げる快進撃。勢いの止まった渋野日向子や古江彩佳を抜き去り、代表決定の最終戦を前に畑岡奈紗11位、稲見萌寧25位、古江彩佳28位、渋野日向子31位、鈴木愛48位の順でした。
最終戦は日米の大会にそれぞれが出場
代表が決定する6月最終週、日本では「アース・モンダミンカップ」が開催され、稲見萌寧、古江彩佳、鈴木愛が出場。アメリカでは「全米女子プロゴルフ選手権」が開催され畑岡奈紗と渋野日向子が出場しました。
最終戦は上位2名が予選落ち
ランキング上位者に好成績を出されると、もう追いつく術はありません。ところが、「アース・モンダミンカップ」で代表争い2番手の稲見萌寧が予選落ち。「全米女子プロゴルフ選手権」では最上位の畑岡奈紗が予選落ちを喫してしまいます。
古江彩佳は優勝をすれば、渋野日向子はポイント配分の高い「全米女子プロゴルフ選手権」で5位以内なら逆転で代表入りの可能性が出てきました。しかし、古江彩佳は11位タイ、渋野日向子は40位タイに終わり、逆転はできませんでした。
2021年東京オリンピックは畑岡奈紗と稲見萌寧
東京オリンピックでは稲見萌寧が銀メダルを獲得。畑岡奈紗は9位タイに終わっています。
2016年リオデジャネイロオリンピック
2016年リオデジャネイロオリンピックの代表を目指す日本選手は、ロレックスランキング15位以内には入っておらず、与えられた枠は2名でした。1人目は、当時USLPGAで活躍中の野村敏京が早い段階で当確となり、残り1枠を大山志保、宮里美香、渡邉彩香が争う展開。
代表決定は最終戦全米女子オープンへ
そして誰も抜け出ることができないまま、決着をつける最後の試合、「全米女子オープン」に3名が出場します。このときのロレックスランキングは大山志保41位、宮里美香45位、渡邉彩香46位と僅かな差でした。
その「全米女子オープン」ではランキング上位の大山志保と宮里美香が揃って予選落ちを喫し、代表の行方は渡邉彩香の成績次第に。
渡邉彩香痛恨の池ポチャ
最終日を20位タイと好位置で迎えた渡邉彩香は粘りのゴルフを展開。しかし、代表の座をほぼ手中に収めて臨んだ最終18番ロングホールで、さらに確実を求めてバーディを狙った3打目は、少し足りずに池に入る痛恨のミス。
試合後のロレックスランキングは大山志保43位、宮里美香47位と順位を下げましたが、渡邉彩香は45位に留まり代表には届きませんでした。
2016年リオデジャネイロオリンピックは野村敏京と大山志保
この結果オリンピック代表は野村敏京と大山志保に決定。大山志保は42位でしたが、野村敏京は銅メダルと1打差の4位タイと健闘しています。
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