アメリカ女子プロゴルフツアー(LPGA)の2024年シーズンもいよいよ開幕。今年も日本選手が新たに3名加わり、ますます目が離せなくなりました。そこで気になるのがシード権を持たない選手の出場可能試合。シーズン初めの出場優先順位や途中実施されるリシャッフルを説明します。
USLPGAの出場優先リストとリシャッフル
USLPGAのリシャッフルは例年5月と7月の2回、CMEポイントを基に行われます。日本と違いシード選手も含めたポイントで争われ、ランキング80位がボーダーライン。1回目のリシャッフルでCMEポイント80位以内に入れれば、2回目のリシャッフルまでの優先順位が格段に上がります。
CMEポイントとは
USLPGAの各試合ごとに順位に応じて与えられるポイントがCMEポイントです。配分方法に違いはありますが、日本のLPGAで採用されているメルセデスポイントとほぼ同じシステムです。通常試合の1位には500ポイントが与えられ、2位320ポイント、3位230ポイント、10位75、20位45、50位7.5ポイントとなり、メジャーは30%増しになります。
このポイントを基に出場優先リストやリシャッフルが作成されています。シーズン前に作成されるLPGAのPriority List(優先リスト)は前年度のCMEポイント基に作成され、上位80位までがシード選手として、年間優先順位の上位のポジションを確保します。
リシャッフルには当該年度のCMEポイントが採用されます。シード選手も含めた全体のシーズンCMEランキングで比較され、上位80位に入れると出場優先リストで上位のカテゴリーにランクアップできるシステムです。
それでは、USLPGAの優先リストを見ておきましょう。優先リストカテゴリーは19項目ありますが、リシャッフルの対象になるのは、カテゴリー9以降の選手たち。昨年シードを失った渋野日向子やQシリーズを突破して新規参戦の西郷真央に吉田優利も対象です。
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LPGAのPriority List(優先リスト)
シード選手
1. 2023年CME GLOBE ポイント80位までのメンバーと医療、産休、家族休暇などの適用者。
2024年はポイント80位までの選手と休暇適用者合わせて93名がリストアップされています。休暇適用者が復帰するため優先順位はポイント順位と同じにはなりませんが、ほぼ同じ順位でランキングされます。
日本選手ではCME GLOBE ポイント10位古江彩佳、12位畑岡奈紗、17位笹生優花が同ランクで、48位の西村優菜が52位、74位の勝みなみが86位でランキングされています。
2. キャリアマネートップ20
生涯獲得賞金額上位20位までの選手で、希望した者。
ここにはポーラ・クリーマーが94位でランキング
3. 過去5シーズンのメジャー優勝者
ここには昨シーズンCME GLOBE ポイント91位でシードを落としたイ・ジョンウン6など95位~101位までの7名がランキングされています。
4. 過去2シーズンの優勝者
ここには昨シーズンCME GLOBE ポイント100位と振るわなかったリディア・コ、モリヤ・ジュタヌガンなど5名が102位~106位でランキングされています。
5. 過去3シーズンで同一シーズン複数回の優勝
6. 過去4シーズンで同一シーズン3回以上優勝
5.6のカテゴリーに登録者はありませんでした。
7. 2023年または2024年シーズンに非会員で優勝して、会員登録をした選手
ここには2023年「TOTO ジャパンクラシック」で優勝の稲見萌寧がランキング。優先順位107位です。
8. カテゴリー9以降の選手で1回目のリシャッフル後のCME GLOBE ポイント80位までの選手
このカテゴリーは1回目のリシャッフル後に有効になります。これまでのカテゴリーから大幅なランキングアップになるため、1回目のリシャッフルまでにCME GLOBE ポイント80位以内に入ることが最初の目標。ここに入るとほとんどの試合に出場できます。1回目、2回目それぞれのリシャッフルで更新されます。
「ミズホ・アメリカズオープン」終了後、2024年1回目のリシャッフルが実施されました。リシャッフルを突破してカテゴリ9以降からここに昇格した選手は12名。
西郷真央はCME GLOBE ポイント53位で見事クリア。しかし渋野日向子は138位、吉田優利は143位で突破できず元のカテゴリーに留まっています。その結果西郷真央の優先順位は108位に上昇。渋野日向子は125位、吉田優利は164位になっています。
出場人数144名の試合が多いため、渋野日向子はまず問題なしですが、吉田優利は弾かれる試合も出てきそうです。
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リシャッフル対象選手
9. 2023年EPSONツアー賞金ランキングトップ10の選手
108位~117位までの10名がランキングされています。2024年シーズン 谷田侑里香、馬場咲希、長野未祈がこのカテゴリー目指してエプソンツアーに参戦中(2024シーズンからはトップ15に増枠、ただし11~15位は下位のカテゴリーに編入)。
10. 2023年シーズン非会員で獲得したポイントがCME GLOBE ポイント40位相当以上の選手
ただし、ポイント獲得試合は予選カットのある大会に限り、2023年は会員になっている必要があります。
このカテゴリーの該当者はありませんでした。
11. 2022年シーズンCME GLOBE ポイント81位~100位までのメンバー
ここに渋野日向子がランキングされています。優先順位は119位。144名の大会が多いので、人数が制限されるアジア開催以外はほとんどの試合に参戦できます。
昨シーズン80位以内に入れなくても他カテゴリーの資格を持つ選手もいて、118位~134位までの17名がランキングされています。
12. キャリアマネートップ40
生涯獲得賞金額上位40位までの選手で、希望した者。
このカテゴリーは韓国のキム・インキョンが135位でランキングされています。
13. リシャッフル後のCME GLOBE ポイント81位以下でポイントを獲得した対象者
リシャッフル後に有効になるカテゴリー。ここは、リシャッフルでCME GLOBE ポイント80位に入れなかったカテゴリー14以降の選手がポイント順にランキングされます。
14. 2023年Qスクールトップ20
2023年のQスクール1位が全体順位136位です。メディカル含む136位~159位までの24名がランキングされており、Qスクールで2位タイの西郷真央は138位、7位タイの吉田優利は145位にランキングされています。
15. 2023年Qスクール21位~45位
2023年Qスクールで20位以内に入れなかった25名が成績順にランキングされています。休暇適用者いるため160位~190位の31名でした。
16. 2023年シーズンCME GLOBE ポイント101位~125位までのメンバー
ここには191位~200位までの10名がランキングされています。
17. 過去21シーズン以内のメンバーとしてのトーナメント優勝者
201位アニカ・ソレンスタム 、202位カリー・ウェッブ、213位宮里藍などそうそうたる名前が並んでいます。野村敏京もこのカテゴリーでランキングは231位です。
ランキング258位までの58名が登録されています。
18. 過去22シーズン以前のトーナメント優勝者
259位~375位までの117名がランキングされています。
19. 2023年シーズンCME GLOBE ポイント126位~150位までのメンバー
376位~383位の8名がランキングされています。
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リシャッフル対象者の出場可能状況は
アメリカツアーの出場総数は144名の大会が多く、そのうちの4枠は主催者推薦や予選会による出場者のために空けています。したがって実質140名がPriority Listからの出場です。
2024年はシーズンは1回目のリシャッフルが実施されるまでは、渋野日向子119位、西郷真央138位、吉田優利145位です。1回目のリシャッフルは5月16日開催のMizuho Americas Open後に実施されます。出場人数が120名と少なく、西郷真央138位、吉田優利145の出場は微妙です。
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2024シーズン初めのLPGAスケジュール
開催初日 | トーナメント名 | 開催地 | 出場人数 |
1月18日 | Hilton Grand Vacations Tournament | オーランド | 優勝者のみ |
1月25日 | LPGA Drive On Championship | フロリダ | 120 |
2月22日 | Honda LPGA Thailand | タイ | 72 |
2月29日 | HSBC Women’s World Championship | シンガポール | 66 |
3月7日 | Blue Bay LPGA | 中国 | 108 |
3月21日 | Seri Pak LA Open | カリフォルニア | 144 |
3月28日 | Arizona Championship | アリゾナ | 144 |
4月3日 | LPGA Match Play at Shadow Creek | ラスベガス | 64 |
4月18日 | The Chevron Championship | テキサス | メジャー |
4月25日 | JM Eagle LA Championship | ロサンジェルス | 144 |
5月9日 | Cognizant Founders Cup | ニュージャージー | 144 |
5月16日 | Mizuho Americas Open | ニュージャージー | 120 |
5月30日 | U.S. Women’s Open | ランカスター | メジャー |
2024年シーズンは、1月18日が初日。過去2年の優勝者が出場できる「Hilton Grand Vacations Tournament」で開幕します。ここには古江彩佳、畑岡奈紗、稲見萌寧がエントリー済み。他の日本選手には出場権がありません。
翌週の「LPGA Drive On Championship」は120人大会で、出場の可能性はあるものの微妙なところ。シード組では古江彩佳、畑岡奈紗、勝みなみがエントリー済みで、リシャッフル対象の西郷真央もエントリーしています。ただ、締め切りまで間があるので、はじき出される可能性もあります。
2月と3月中旬まではアジアシリーズが続き、出場は厳しそう。推薦出場ではポイントにならないため、3月21日初日の「Seri Pak LA Open」に照準を合わせた方がよさそうです。
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JLPGAリランキングとUSLPGAリシャッフルの違い
JLPGAが運用しているメルセデスランキングもLPGAが採用しているCME GLOBE ポイントもシード選手、リランキングまたはリシャッフル対象者を含めてのランキングシステムです。
違う点といえば、リランキングがリランキング対象者のみで行われるのに対して、リシャッフルはシード選手も合わせたランキングが対象になります。CME GLOBE ポイント80位に入れなければカテゴリーは上がらず、優先順位はさらに後退するのです。
リランキングにしろリシャッフルにしろ、失敗すれば職場を失う可能性も。厳しい世界であることに変わりはありません。
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