アマチュアのゴルフでは、プライベートであれ競技大会であれハンディキャップという言葉をよく使います。「ハンディキャップいくつ?」「アンダーハンディキャップ戦」など。そもそもハンディキャップはなぜ必要なのでしょうか?さらに最近ではハンディキャップインデックスやスロープレーティングなる単語もよく聞きます。
ハンディキャップとハンディキャップインデックスの違いや、ハンディキャップはなぜ必要かなどについて説明します。
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ハンディキャップ
ゴルフ上級者とアベレージゴルファーや初心者が、同じステージで競える仕組みがハンディキャップの考え方です。同じコースを18ホール回ったら上手な人のスコアが少ないのは当然。これでは勝負はやる前から分かっていて面白くありません。そこで、いつも負けてばかりいる人のスコアから、差に該当する適当な数を引いてあげるとスコアは拮抗してきます。
この、引いてあげる適当な数がハンディキャップです。ハンディキャップには、世界中で通用する公式ハンディキャップと、限られた場所でのみ使用されるプライベートハンディキャップ、1回限り有効な単発のハンディキャップなどが運用されています。
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公式ハンディキャップ
JGA(日本ゴルフ協会)が認めたハンディキャップが公式ハンディキャップです。公式ハンディキャップはワールドハンディキャップシステムにより算定された世界で通用するハンディキャップです。
ワールドハンディキャップシステム
2020年より、JGAでは世界統一規格の「ワールドハンディキャップシステム」を運用しています。このシステムに加入することで、日本全国はもちろん世界中のゴルファーと適正なハンディキャップの下でゲームを楽しめるようになりました。
ワールドハンディキャップシステムに加入して、ハンディキャップインデックスを取得すれば、日本は勿論世界中のコースでラウンドする際のハンディキャップを算出できるというわけです。
ハンディキャップインデックス
ワールドハンディキャップシステムに登録してスコアカードを提出すると、ラウンドしたコースの難易度や提出スコアによってハンディキャップが算出されます。ラウンドの度にスコアを提出して算出されたハンディキャップの平均値が、ハンディキャップインデックスです。
ハンディキャップインデックスはスコア提出毎に変わりますが、月1回の更新が一般的です。
コース別ティー別ハンディキャップの決め方
各ゴルフ場のティーによって難易度が変わるため、同じプレーヤーでも違うティーでプレーする都度与えられるハンディキャップは変わってきます。つまり、難しいコースだと多く、やさしいコースだと少なくなるのですが、以下の式で計算できます。
コースハンディキャップ=インデックス×(スロープレーティング÷113)+(コースレーティングからパーを引いた値)
コースレーティング
コースの難易度を表す指標の一つ。対象コースをスクラッチプレーヤー(ハンディキャップインデックス0のプレーヤー)がプレーしたときの想定スコアです。数値が高いほど上級者にとっては難易度が高くなります。
スロープレーティング
スクラッチプレーヤーとボギープレーヤー(男子ならハンディキャップインデクス20前後、女子なら24前後のプレーヤー)の想定スコアの差によって数値化された指標。標準数値は113。数値が多くなるとアベレージゴルファーには難易度が高くなります。
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プライベートハンディキャップ
プライベートハンディキャップは特定のグループや団体で運用するハンディキャップです。会社の社内コンペやゴルフ場の月例競技など、同じメンバーで定期的にゲームをする場合に有効。一度決めた個々のハンディキャップは都度の変更はせず、コンペや月例競技で入賞したときに一定の割合で変更する方法が一般的です。
単発のハンディキャップ
単発、つまり1回のゲーム限りのハンディキャップで、不特定多数のコンペやたまに集まる友人同士の親睦ゴルフなどに適しています。ゴルフ場で行われるオープンコンペなどでも採用されているようですが、その日ラウンドしたスコアを基に個々のハンディキャップを設定する、ぺリア方式が一般的です。
ぺリアと新ぺリア
任意に選んだホールの打数でそのラウンドのハンディキャップを決める方法です。選んだホールを隠しホールといい、ゴルフ場に決めてもらうのが一般的。隠しホールを少なくするほどギャンブル性(意外性)が高くなります。
隠しホールが6ホールをぺリア、12ホールを新ぺリアと呼びます。
ぺリア
隠しホールはアウト・インそれぞれロング、ミドル、ショートから1ホールずつ選びます。これで6ホールのトータルがパー24。全ホールのパー72の1/3になります。次に隠しホールの合計スコアを3倍してパー72より多い分がその日のハンディキャップです。
新ぺリア
隠しホールをアウト・インそれぞれ6ホール、計12ホールにして運用します。ぺリアと比べると隠しホールが多い分グロス上位が有利になります。新ぺリアではパー48となるように隠しホールを選びます。隠しホールの自分のスコアを1.5倍して72との差がその日のハンディキャップです。
一般的にペリア、新ぺリアとも算出したハンディキャップに0.8を掛けて運用します。
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ハンディキャップ目安
ハンディキャップはゴルファーを技量でランク分けする際の目安にも使われます。
シングル
ハンディキャップが9以下をシングル、さらに5以下を片手シングルと言って上手な人の代名詞として使われます。
クラス分け
クラブの月例競技などでは、ハンディキャップによりクラス分けをしています。クラブにより違いはありますが、ハンディキャップ12~14くらいまでがAクラス、22~24くらいまでがBクラス、これより以下がCクラスのようにクラス分けするケースが多いようです。
アンダーハンディキャップ戦
公式にしろプライベートにしろ単発にしろ、ハンディキャップを使って開催される競技やコンペがアンダーハンディキャップ戦です。アンダーハンディキャップ戦では実際のスコアにハンディを加味したネットスコアで勝敗が決まります。
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有名コースのハンディキャップはどうなる?
アマチュアが有名コースに挑戦したら、どれくらいのハンディキャップがもらえると思いますか?
オーガスタナショナル 推定 CR78.1 推定SR137
マスターズ開催コースのオーガスタナショナルは、コース査定をさせないようで正確なコースレーティングはわかりません。ただ、私的に査定した結果、推定コースレーティング(CR)78.1、推定スロープレーティング(SR)137とされています。
ハンディキャップ=インデックス×(スロープレーティング÷113)+(コースレーティング-パー)
以上よりアマチュアがプレーするときのハンディは以下の通り。
オーガスタナショナル CR78.1/SR137 | |||||||
プレーヤーのハンディキャップインデックス | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 |
ラウンド時のハンディキャップ | 6.1 | 12.2 | 18.2 | 24.3 | 30.3 | 36.4 | 42.5 |
インデックスを持っている人は、1.212倍して6.1を加えればオーガスタナショナルのHCというわけですね。
セントアンドリュース オールドコース CR75.6 SR143
聖地セントアンドリュース オールドコースのチャンピオンティーは、コースレーティング(CR)75.6、スロープレーティング(SR)143とされています。
セントアンドリュースオールドコース CR75.6/SR143 | |||||||
プレーヤーのハンディキャップインデックス | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 |
ラウンド時のハンディキャップ | 3.6 | 9.9 | 16.3 | 22.6 | 28.9 | 35.2 | 41.6 |
インデックスを持っている人は、1.265倍して3.6を加えればセントアンドリュースオールドコースのHCというわけですね。
ハンディキャップインデックスの計算
ラウンドしたコースの難易度や提出スコアによって算出されるハンディキャップの平均がハンディキャップインデックスです。
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ハンディキャップインデックスの求め方
個人の技量を数値化したハンディキャップインデックスは、コースレーティングとスロープレーティングが設定されたコースをプレーすることで算出されます。
スコアディファレンシャル
ハンディキャップインデックスは、各ラウンドのスコアを基にスロープレーティングやコースレーティングを加味して計算された数値の平均値です。ラウンド毎に計算されるハンディキャップをスコアディファレンシャルといい、何枚かのスコアディファレンシャルの平均値がハンディキャップインデックスとなります。
スコアディファレンシャル=(113÷スロープレーティング)×(調整スコア-コースレーティング)
調整スコア
調整スコアとは、実力より極端に悪いスコアが影響しないように、ホール毎のネットダブルボギーを超えた打数をネットダブルボギーとしてカウントしたスコアです。
ハンディキャップはプレーするコースに対して与えられますが、各ホールに対してもホールハンディキャップの順に与えられています。ハンディキャップ13のプレーヤーならハンディキャップ1~13のホールにそれぞれ1打が、ハンディキャップ24なら、ハンディキャップ1~6のホールにそれぞれ2打が与えられ、ハンディキャップ7のホールから後はそれぞれ1打が与えられるといった具合です。
ハンディキャップホールのネットダブルボギーは、パー+ハンディキャップ+2打となります。
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有効スコア枚数
ハンディキャップインデックス取得には、当初54ホール分のスコアカードが必要です。1ラウンド18ホールとして3ラウンド分のスコアカードを提出して初めて、ハンディキャップインデックスが取得できます。
・3枚の場合はベストスコアディファレンシャルからマイナス2打
・4枚の場合はベストスコアディファレンシャルからマイナス1打
・5枚の場合はベストスコアディファレンシャルからマイナス0打
・6枚でベスト2枚の平均からマイナス1打
・7枚からベスト2枚の平均になって提出枚数が増えるにしたがってベスト枚数も増加します。
提出数が20枚になるとここからが通常の運用です。通常のシステムでは、提出スコアが20枚を超えると最新の20枚のなかからベスト8枚を選んで、ハンディキャップインデックスを更新していきます。
更新毎にベストスコアが選ばれるため、ハンディキャップインデックスは個々のプレーヤーが調子のいいときに出したスコアに集約されます。
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ハンディキャップインデックスを取得してゴルフ生活をエンジョイ
ハンディキャップインデックスの取得方法
ハンディキャップインデックスは誰でも取得できるのですが、まずは、JGAの運用するワールドハンディキャップシステムに加入していて、ハンディキャップインデックスが発行できるゴルフクラブやどこかの団体に所属する必要があります。
ゴルフクラブの会員でない人は、次のサイトの個人会員になると取得できます。
ゴルフは生涯スポーツといわれる息の長いスポーツです。どうせゴルフをやるなら早くから楽しみたいもの。ハンディキャップインデックスを取得すれば参加できる競技も増えて、ゴルフ生活をエンジョイできますよ。
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