賞金ランキングで競われる賞金女王から、メルセデスランキングで競われる年間最優秀選手に変更された年間女王争い。2023年シーズンも最終戦「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」まで山下美夢有、申ジエ、岩井明愛の3選手に可能性が残る大混戦になりました。抜け出したのは山下美夢有、最終戦を堂々の優勝で飾り、2年連続の年間女王に輝きました。
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メルセデスランキン
2020-21年シーズンよりシード権始めリランキングにメルセデスランキングを採用、2022年より一本化しています。2019年までは賞金ランキング1位に賞金女王として年間女王の栄誉が与えられましたが、2020-21年シーズンよりはメルセデスランキング1位が年間最優秀選手として年間女王の座にふさわしくなりました。
賞金ランキングからメルセデスランキングへの変更
2020-21年シーズン、シード権を決めるランキングが賞金ランキングからメルセデスランキングに変更されました。2020-21年シーズン終了後に決まる2022年のシード選手は、メルセデスランキングと賞金ランキングが併用されて、それぞれの50位までに与えられましたが、2022年よりはメルセデスランキング一本に統一されています。
2020-21年シーズンは両ランキングを併用
両ランキングが併用された2022年シーズン、シード選手は52名。そのうち賞金ランキング54位の宮里美香と55位の山路昌はメルセデスランキング50位と47位。メルセデスランキング51位の有村智恵と54位のイナリが賞金ランキング50位と48位でシード落ちを免れています。
一方女王争いは、賞金ランキング1位稲見萌寧2位古江彩佳3位小祝 さくら、メルセデスランキング1位古江彩佳、2位稲見萌寧3位小祝さくらの順で賞金女王と年間女王は同じではありませんでした。
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メルセデスランキングとは
JLPGAツアーの競技を3日間大会、4日間大会、公式戦に分けて、それぞれの順位によるポイントを付与。年間を通しての活躍度を評価するシステムです。ここにUSメジャーのポイントを加味して、ランキングを競います。
それぞれの試合に付与される順位別のポイント上位20位までは以下のとおり。試合毎に差のある賞金を基にした賞金ランキングと比べると、不公平感が無くなりました。
メルセデスランキングポイント | ||||
順位 | 3日間大会 | 4日間大会 | 公式戦 | USメジャー |
1 | 200 | 300 | 400 | 800 |
2 | 120 | 180 | 240 | 480 |
3 | 90 | 135 | 180 | 360 |
4 | 70 | 105 | 140 | 280 |
5 | 60 | 90 | 120 | 240 |
6 | 55 | 82.5 | 110 | 220 |
7 | 50 | 75 | 100 | 200 |
8 | 47 | 70.5 | 94 | 188 |
9 | 44 | 66 | 88 | 176 |
10 | 41 | 61.5 | 82 | 164 |
11 | 38 | 57 | 76 | 152 |
12 | 36 | 54 | 72 | 144 |
13 | 34 | 51 | 68 | 136 |
14 | 32 | 48 | 64 | 128 |
15 | 30 | 45 | 60 | 120 |
16 | 28 | 42 | 56 | 112 |
17 | 26 | 39 | 52 | 104 |
18 | 24 | 36 | 48 | 96 |
19 | 22 | 33 | 44 | 88 |
20 | 20 | 30 | 40 | 80 |
記憶に残る歴代年間女王熱き戦い
直近の女王争いや記憶に残る名勝負をピックアップしてみました。2019年までは賞金女王争い、2020-21年シーズンからはメルセデスランキングポイント争いになっています。
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2023年は3選手による混戦から山下美夢有が2連覇
最終戦を残して山下美夢有、申ジエ、岩井明愛による3つ巴
2023年シーズンは最終戦を残し今季4勝の山下美夢有、2勝の申ジエ、3勝の岩井明愛との3つ巴の争いになりました。山下美夢有と申ジエのポイント差は57.19、山下美夢有と岩井明愛の差は100.39。優勝ポイントが400、2位が240ポイントのため、誰かが優勝すれば文句なしの状況でした。
初日を終わって山下美夢有と申ジエは3アンダー4位タイ、岩井明愛は1アンダー10位タイと3者まずまずの滑り出し。しかし、2日目には山下美夢有が6アンダーで2位とするも、申ジエは伸ばせず3アンダーで5位タイ、岩井明愛は2オーバーまで落として20位タイに後退と明暗が分かれます。
山下美夢有の優勝で決着
3日目は山下美夢有が8アンダーまで伸ばして首位に立つと、岩井明愛は5オーバーまでスコアを落として女王争いから脱落、申ジエも1打落として2アンダーとして、大勢は決まってきました。
最終日は山下美夢有が前半2つ落とすもすぐにリカバリー。後半で2つ伸ばして10アンダーにすると誰もついていけず2位に3打差をつけて優勝に輝きました。申ジエも13番でイーグルを奪って5アンダーにするなど、期待を持たせましたが、4位タイに終わりました。
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2022年山下美夢有は逆転から大差で獲得
前半は西郷真央がスタートダッシュ
2022年は、前半10戦して5勝を挙げた西郷真央がスタートダッシュ。シーズン第12戦「ブリヂストンレディスオープン」終了時点でメルセデスランキング1,506.20ptで2位の山下美夢有766.26ptにほぼダブルスコアーでリードしていました。
後半勝利を重ねて大差で女王
しかし後半西郷真央は失速。後半優勝を重ねた山下美夢有が大差をつけて年間女王に輝いています。最終ポイントは山下美夢有3,441.28pt、2位西郷真央2,264.83pt、3位稲見萌寧2,226.19ptでした。
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2020-21年3.56pt差の大接戦で古江彩佳
オリンピックは稲見萌寧
コロナ禍の影響で変則日程となった2020-21年シーズン。シード権にもメルセデスランキングが適用された初年度となり、賞金ランキングと併用されました。年間女王の座はオリンピック代表を争った古江彩佳と稲見萌寧の一騎打ち。世界ランキングで決まるオリンピック代表は、稲見萌寧に軍配が上がっています。
一方のメルセデスランキングによる年間女王争いは、最終戦までもつれ込む大接戦になりました。最終戦を残して稲見萌寧3,735.60ptに古江彩佳3,656.36ptとその差は79.24pt。それぞれの順位によってどのようにも変わる僅差でした。
年間女王は古江彩佳 賞金女王は稲見萌寧
結果は古江彩佳が3位タイで188.8pt獲得、稲見萌寧は9位タイで106pt獲得。最終結果は古江彩佳3,845.16pt、稲見萌寧3,841.60ptとなり、3.56pt差で古江彩佳が年間女王に輝きました。なお、賞金女王は稲見萌寧が取っています。
2019年売り出し中のメジャー覇者渋野日向子をかわして鈴木愛
賞金ランキングのみでシード選手が決まっていた最終年。賞金女王争いはシーズン半ばから首位を走る申ジエに2位で離れない渋野日向子と後半追い上げを見せた鈴木愛の3選手によるデッドヒートとなりました。
終盤の「樋口久子 三菱電機レディス」、「TOTOジャパンクラシック」、「伊藤園レディス」で3連勝を飾った鈴木愛がトップに立つと、「大王製紙エリエールレディス」では渋野日向子が優勝で食らいつきます。
逃げ切りで鈴木愛!メルセデスランキングは渋野日向子
1位鈴木愛、2位申ジエ、3位渋野日向子の順で臨んだ最終戦。申ジエと渋野日向子は単独2位以上が条件でしたが、渋野日向子は2位タイ、申ジエは7位タイに終わり5位タイに入った鈴木愛が2017年に続き2度目の賞金女王に輝きました。2位の渋野日向子は最優秀選手を獲得、申ジエは3位に終わっています。
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2015年・16年連続賞金女王イ・ボミ
2011年より日本ツアーに参戦したイ・ボミは初年度賞金ランキング40位でシード権を獲得すると、2012年賞金ランキング2位、2013年7位、2014年3位から2015年は1位の座に上り詰めます。それも獲得額¥230,497,057と史上初2億円を突破、2位のテレサ・ルーに1億円近く差をつけての堂々の賞金女王でした。
イ・ボミは続く2016年も賞金女王に輝きますが、2年連続でメルセデスランキング1位、平均ストローク1位も獲得、強さを見せつけました。また、2015年は賞金レース1位イ・ボミ、2位テレサ・ルー、3位申ジエ、4位アン・ソンジュ、5位李知姫と海外勢が独占。日本選手は6位の渡邉彩香が最上位という有様で、日本選手の奮起が促された年でした。
2013年最終戦最終ホールで決着! 森田理香子VS横峯さくら
2009年以来2回目の賞金女王を目指す横峯さくらと新進気鋭森田理香子との賞金レースは見ごたえ十分。終盤になっても1試合ごとに順位が入れ替わるマッチレースになりました。
森田理香子を横峯さくらが猛追
開幕戦を優勝で飾り好調なスタートを切った森田理香子が賞金レースを引っ張って終盤戦に突入すると、中盤以降調子を上げてきた横峯さくらが、第31戦「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」で今季3勝目を挙げ、400万円差まで詰め寄ります。
第32戦、33戦は2人共平凡な成績でその差は詰まらず、迎えた第34戦「伊藤園レディスゴルフトーナメント」で横峯さくらが優勝。ついに逆転を果たすのですが、続く第35戦「大王製紙エリエールレディスオープン」では森田理香子が今季4勝目を掴んで再逆転。 約280万円差で最終「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」を迎えました。
タイ人数の差で森田理香子が逃げ切り
横峯さくらが逆転する最低条件は賞金376万円の単独8位以上。後は森田理香子の順位次第で結果が変わってきます。初日は仲良く2オーバー14位タイでのスタートから、なかなかスコアを伸ばせない展開。結局、森田理香子は12位で終わって136万円を獲得。横峯さくらは単独7位の464万円が必要でしたが、5人が並ぶ7位タイで賞金は286万4千円に終わり、130万円差で森田理香子が逃げ切りました。
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2009年後半の追い上げで大差を逆転!横峯さくら
2009年はこの年6勝の横峯さくら、同じく6勝の諸見里しのぶ、5勝の有村智恵と4勝の全美貞4選手による賞金女王争いとなりました。中盤までは僅差で推移して9月の「日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯」で諸見里しのぶが早々と今季6勝目を挙げて、一歩抜け出します。
この時点でランキング2位の全美貞とは約4千万円差、3位横峯さくらとは約4千4百万円差でした。すると次戦「マンシングウェアレディース東海クラシック」では横峯さくらが今季4勝目を挙げて約3千万円差まで詰め寄ると、第32戦「伊藤園レディスゴルフトーナメント」で5勝目を挙げて、約4百万円差まで接近します。
最終戦残して有村智恵、諸見里しのぶ、横峯さくらに可能性
有村智恵は「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」で今季4勝目を挙げると、最終戦前の「大王製紙エリエールレディスオープン」で優勝。諸見里しのぶとの差を約1千7百万円差にして最終戦に可能性を残しました。全美貞は第30戦「樋口久子IDC大塚家具レディス」で今季4勝目を挙げるも、最終戦を残して約2千9百万円の差が付き賞金女王の可能性はなくなっています。
最終日横峯さくらが逆転優勝で決着
そして最終戦「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」は3日目を終わって首位に8アンダーで飯島茜が立ち、諸見里しのぶは4アンダー3位タイ、横峯さくらは3アンダー5位タイ、有村智恵が2アンダー8位タイと諸見里しのぶが優位な情勢でしたが、最終日横峯さくらが6アンダーまで伸ばして逆転優勝。賞金女王の座も手に入れました。諸見里しのぶは5アンダーで2位タイ、有村智恵は2アンダーで9位タイに終わっています。
2008年神がかり的な逆転劇!古閑美保
最終戦残し1位李知姫、2位横峯さくら、3位古閑美保
2008年の賞金女王争いは、最終戦を残して首位に立つ李知姫2位横峯さくら3位古閑美保の3選手に絞られました。といっても李知姫と横峯さくらの差は¥16,160,617李知姫と古閑美保の差は¥22,008,649。両者共優勝が絶対条件、たとえ優勝できても李知姫が8位に入れば古閑美保の逆転はなし、李知姫が3位で横峯さくらの逆転はなくなり李知姫が断然有利な状況でした。
そして迎えた最終日は5アンダー宋ボベが単独首位、2アンダー6位タイで古閑美保、横峯さくらイーブンで8位タイ、李知姫は1オーバー11位からのスタートでした。試合は淡々と進み李知姫は2つ伸ばして1アンダーでホールアウト、横峯さくらは伸ばせずイーブンでホールアウト、横峯さくらの逆転はなくなります。
最終日スコアを伸ばすも難しい展開
2アンダーでスタートの古閑美保は4つ伸ばして6アンダーでホールアウト、クラブハウスリーダーとして後続を待ちます。首位スタートの宋ボベは後半落として優勝争いから脱落しますが、代わりに全美貞がスコアを5つ伸ばす快進撃で、16番を終わって8アンダーで首位に立ちます。
ダブルボギーに3パットでまさかの展開
このまま優勝かと思われましたが、17番でボギー、18番はダブルボギーとして5アンダーでホールアウト。同じ組で回っていた不動裕理は17番を終わって6アンダーから18番は決めれば優勝の約1mのバーディパットを外すと、返しも外してボギー。こちらも5アンダーとして古閑美保の優勝が確定しました。
李知姫の最終順位は単独10位で8位に届かず、古閑美保の逆転賞金女王が決まったのです。その差は¥1,201,351でした。
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歴代メルセデスランキングトップ3
メルセデスランキングポイント | ||||||
年度 | 最優秀選手 | 2位 | 3位 | |||
2023 | 山下 美夢有 | 3,117.19 | 申 ジエ | 2,790.06 | 岩井明愛 | 2,648.80 |
2022 | 山下 美夢有 | 3,441.28 | 西郷 真央 | 2,264.83 | 稲見 萌寧 | 2,226.19 |
2020-21 | 古江 彩佳 | 3,845.16 | 稲見 萌寧 | 3,841.60 | 小祝 さくら | 3,155.35 |
2019 | 渋野 日向子 | 555.5 | 申 ジエ | 538.0 | 鈴木 愛 | 487.5 |
2018 | 申 ジエ | 598.5 | アン ソンジュ | 540.5 | 比嘉 真美子 | 540.5 |
2017 | 鈴木 愛 | 500.5 | キム ハヌル | 499.5 | イ ミニョン | 498.5 |
2016 | イ ボミ | 623.0 | 笠 りつ子 | 575.0 | 鈴木 愛 | 554.0 |
2015 | イ ボミ | 769.5 | テレサ・ルー | 540.0 | 渡邉 彩香 | 484.0 |
2014 | アン ソンジュ | 549.5 | イ ボミ | 491.0 | 原 江里菜 | 467.0 |
2013 | 横峯 さくら | 556.5 | 森田 理香子 | 527.0 | 吉田 弓美子 | 452.0 |
2012 | 全 美貞 | 571.5 | イ ボミ | 447.5 | 森田 理香子 | 433.0 |
歴代賞金ランキングトップ3
獲得賞金額(金額は円) | ||||||
年度 | 賞金女王 | 2位 | 3位 | |||
2023 | 山下 美夢有 | 213,554,215 | 岩井明愛 | 169,449,079 | 申 ジエ | 163,568,277 |
2022 | 山下 美夢有 | 235,020,967 | 西村 優菜 | 149,158,595 | 稲見 萌寧 | 139,402,087 |
2020-21 | 稲見 萌寧 | 255,192,049 | 古江 彩佳 | 246,743,575 | 小祝 さくら | 200,423,583 |
2019 | 鈴木 愛 | 160,189,665 | 渋野 日向子 | 152,614,314 | 申 ジエ | 142,277,195 |
2018 | アン ソンジュ | 180,784,885 | 申 ジエ | 165,325,295 | 鈴木 愛 | 140,234,839 |
2017 | 鈴木 愛 | 140,122,631 | イ ミニョン | 126,439,365 | テレサ・ルー | 124,356,031 |
2016 | イ ボミ | 175,869,764 | 申 ジエ | 147,098,013 | 笠 りつ子 | 134,114,013 |
2015 | イ ボミ | 230,497,057 | テレサ・ルー | 146,957,679 | 申 ジエ | 114,861,293 |
2014 | アン ソンジュ | 153,075,741 | テレサ・ルー | 123,172,186 | イ ボミ | 119,783,686 |
2013 | 森田 理香子 | 126,675,049 | 横峯 さくら | 125,371,638 | テレサ・ルー | 94,793,600 |
2012 | 全 美貞 | 132,380,915 | イ ボミ | 108,679,454 | 有村 智恵 | 101,889,564 |